愛犬むーたんが他人を噛んでしまいました。。

先日、クーラー修理の業者の方が来てくださった時のこと。普段おとなしくてとってもいい子のむーたんが、ものすごい唸り声をあげて業者の方に噛みついてしまいました。突然のことでびっくりすると同時に、悲しみと不安を感じた私は、すぐに動物行動治療の獣医さんに相談することにしたのです。ここではむーたんが人を噛んだ時の様子とその理由、意外な診断結果についてお伝えしたいと思います。

愛犬むーたんの変化

他の犬と挨拶できるようになった

小さい頃のむーたんは怖がりで、お散歩中に他のワンちゃんと出会っても、あまり上手に挨拶できませんでした。ドッグランでもお散歩中でも逃げてばっかり。でもお友達ができたほうが、むーたんもより楽しめるだろうと思ったので、粘り強く練習を重ねた結果、最近では少しずつ挨拶ができるようになったのです。

さらに、少し前に見つけた最高のペットホテル「ケネルズ東京」で、仲良くできるお友達に出会ってからは、より他の犬に興味を示すようになりました。(※『犬嫌いな愛犬のための挨拶トレーニング』参照)

だんだん主張するように

挨拶ができるようになったのと同時に、むーたんは少しずつ自分の感情を表現できるようになりました。今までむーたんが怒ったところなんて見たことなかったし、外で吠えることなんてなかったのですが、少し前から他の犬に長い間クンクンされたり、お腹の匂いを嗅がれそうになったりした時に、相手を威嚇するようになったのです。また、一緒にネイルサロンに出かけた時も、後から入ってきたお客さんに対して大きな声で吠えてしまいました。

これらの変化を見て、私とむーたんパパは「むーたんも大人になったのね。」「ちゃんと主張できるようになってきてよかったね。」というポジティブな感じで受け取っていました。

エアコンの修理業者の方に噛みついた時の様子

ストレスフルな環境

エアコン修理の方が来てくれたのは、トリマーさんが出張トリミングに来てくれたのと同じ日の夜でした。トリマーさんが来た時、むーたんはほとんど吠えることもなく、トリミングの直前までベッドでゴロゴロしてリラックスしていたのですが、エアコン修理の方が来た時は最初からかなりピリピリしていました。

エアコンを丸ごと交換することになったので、家具を動かしたり工事で大きな音がしたり、かなりむーたんにとってはストレスフルな環境だったと思います。しかも初対面の人が二人も、長い間お家の中を行ったり来たりしたので、とても嫌だったのでしょう。ごはんやおやつで気をそらしつつ、我慢してもらっていました。

今までとの違い

今までも何度か、業者の方にきてもらったことはあります。排水溝の修理、洗濯機の修理、換気扇の修理、報知器の点検などで、知らない人をお家に招き入れたことはありました。その時もむーたんは怒っていたのですが、それが可愛すぎて全く威嚇になっておらず、微笑ましい感じで終わっていたのです。(※『べッドの下からの援護射撃』参照)

しかし先日のむーたんは昔と違い、明確な意思表示ができるようになっていました。そのことにもう少し早く気づいていればよかったのですが、今まで平気だったから今回も大丈夫だろうと、むーたんを自由にさせていたのです。その結果、工事のための材料を外に取りに出かけようとしたおじさんに噛み付いてしまったのです。

噛んでしまった時の状況

作業してくれる方は二人いました。一人がエアコン周辺で作業をしていて、むーたんはどちらかというとそっちの方を警戒していました。しかしそちらに気を取られている間に、後ろからもう一人が近づいてきているのに気付きませんでした。その人が近くを通り過ぎる直前に気づいてびっくりしたのでしょう。火がついたように怒って吠えました。

その時は一旦静まったのですが、その方が再び玄関へ向かおうとしたところ、むーたんが唸りはじめたので、私はごはんで気を紛らわせようと、むーたんに声をかけてごはんを取りに行こうとしました。むーたんが私の後をついてきていることを確認して、ごはんに手を伸ばそうとしたところ、背後からむーたんの吠え声と「いってぇ!!」という業者の方の声が聞こえたのです。私もパパもびっくりして、声のする方へ飛んでいきました。

どうやらむーたんはずっと狙っていたようです。その人が背を向けた時にこっそり後ろから近づき、思いっきり噛み付いたのでした。

「こら、むーたん!なんてことするの!」

びっくりした私たちはむーたんを叱ってケージの中に閉じ込めました。業者の方は「全然大丈夫ですよ。」と言ってくださったのですが、私たちは何度も謝りました。大事に大事に思っていた心優しいむーたんが人間を攻撃したことは、びっくりする以上にショックでした。

すぐに動物行動治療の獣医さんに相談

むーたんが子犬の頃、私の接し方がまずかったせいで、トイレの失敗を長引かせてしまったことがあります。(※『トイレトレーニングに失敗した子犬時代と対処法』参照)そのとき、動物行動治療の獣医さんに診療してもらって、正しい接し方を教わったところ、すぐに治ったこともあり、私はもう一度その先生を頼ることにしました。

トイレの失敗なら私が掃除をすれば済む話ですが、攻撃行動が悪化すると大変です。他の人や犬に攻撃するようになったら周囲の方にも迷惑をかけるので、早めに正しい対処法を知っておいた方がいいと思いました。少し先にペットホテルに預ける予定もあったので、早速往診して頂くことになりました。

意外な診察結果

ここではむーたんのケースでの診断結果をご紹介します。攻撃行動をする犬全てに当てはまるわけではありませんので、あくまでご参考という形でご覧頂けたらと思います。

叱ると悪化する可能性もある

診察して頂いたところ、むーたんの一連の行動は、犬として普通の行動で心配する必要はないのだそうです。自分のお家に知らない人が入ってきたら、犬は当然警戒します。しかも私たちの友人でもない、赤の他人がウロウロしていたら攻撃反応を示すのは、いたって普通のこと。そのため、犬が攻撃行動を示したからと言って、飼い主が怒るのはよくないそうです。叱ることによって他人への印象がもっと悪くなり、最悪の場合、攻撃行動が悪化する可能性もあると言われました。

もしまた業者の方が家の中に入ってくることがあれば、そのときはむーたんがくつろげる場所に隔離してあげるのが一番いいのだそう。無理にケージに閉じ込めてしまうと、ケージを嫌いになるかもしれないので、これからはいつもむーたんがゴロゴロしているダブルベッドのあるお部屋を仕切ってあげることにしました。

それからお客さまがきた時には、むーたんが好きなおやつをあげたり、むーたんが落ち着ける抱っこをしてあげれば、「他人が来ると抱っこしてもらえて、美味しいおやつまでもらえる。」といういい印象を与えることができるそうです。

むーたんは私を守ってくれていた

私はてっきり、むーたんが私といることで安心して、強気に出ているのだとばかり思っていました。私がいれば最終的に助けてもらえるから、ちょっと強気に主張してみているのだろうと考えていたのです。しかし実際は逆でした。

私がずっとお家にいるようになって、むーたんと私は多くの時間を二人きりで過ごしています。その結果、むーたんは私のことを守らなくては、という使命を強く感じるようになっているのだそうです。お姉ちゃんを知らない人から守らなくちゃ!という気持ちから、私と一緒にいるときはより攻撃的になってしまうのかもしれません、と言われました。

適度な距離感も必要

ずっと二人きりでいるよりも、少しお留守番させてあげたほうが落ち着くかもしれませんよ、と言われました。自分が飼い主のことを守らなくちゃ!という使命感が強くなりすぎて、他人を受け入れにくくなったり、攻撃的になったりもするので、少し距離を置いてあげると落ち着くこともあるのだそうです。

そのためペットホテルに預けている間は、私という守る対象がいなくなるので、気の合うお友達と仲良く過ごせるのだそうです。むーたんにお留守番をさせたくなくて、できるだけ一緒に過ごしてきたのですが、何事もやりすぎは良くないということですね。

最後に

トイレの事件と同様、今回も全く想像していない結果に終わりました。やっぱり早めに相談しておいてよかったです。もし問題行動にお悩みの方がいたら、ぜひ動物行動治療の獣医師を頼ってください。私がお世話になった先生のお問い合わせ先は『トイレトレーニングに失敗した子犬時代と対処法』に載せています^^