愛犬と仲良くなるには?犬に好かれる人と嫌われる人の特徴

一緒に暮らしている犬を可愛がっているはずなのに、家族の中でも犬に好かれる人と好かれない人に分かれることがあります。私の実家で暮らしているヨーキーのこうちゃんは、私と母にはよく懐いているのですが、父と妹のことはあまり好きではありません。特に父の嫌われようといったら…。嫌われている本人はなぜ嫌われているのか全く理解できていないようなので、今回は犬に好かれる人と嫌われる人の違いについて、触れてみたいと思います。

犬に好かれる人と嫌われる人の違い

家族の中に好きな人と嫌いな人がいるとき、犬の接し方はびっくりするほど変わります。よく「犬は家族を順位づけする」と言いますが、個人的には愛犬がそんな計算高いことをしているようには思えません。単純に、好きか嫌いかで接し方が異なるだけなように思います。

犬に好かれる人の特徴

犬に好かれているかどうかは、愛犬の様子をきちんと見ればすぐにわかります。犬が自ら近寄ってきたり、こまめにアイコンタクトを取ろうとしたりする相手は、犬に好かれている人です。ポイントは、「遊んで欲しい」「ごはんが欲しい」という欲求に支配されていないときでも、犬が自主的に寄ってくるということ。

別にごはんが欲しいわけでも、遊んでほしいわけでもなく、ただなんとなく様子が気になって覗きにきたり、眠たいときにちょっとお尻をくっつけたくなったりする人は、犬にとって信頼できる大切な存在なのです。

犬に嫌われる人の特徴

一方、犬に嫌われる人も一目瞭然です。犬は自分があまり好きではない人間には、目的がない限りあまり近寄りません。「ごはんの時間になったら寄ってくる」というのは、その人のことが好きなのではなく、ごはんが欲しいだけです。

犬に嫌われている人は、犬と仲良くなりたくてごはんで釣ろうとしますが(うちの父だけかもしれませんが…)、それでは犬にとってただの都合のいい人になってしまいます。犬はとても感受性豊かな動物なので、食べ物で釣れば仲良くなれるとは考えないほうがいいです。

私の周りにいる、愛犬から嫌われた人たち

ごはんで呼び寄せることしかできないお父さん

私の実家にいるこうちゃんは、猫のような性格の持ち主で、大好きなお母さんとあんまり好きではないお父さんのもとで、自由奔放に暮らしています。たまに帰省するだけの私にはとても懐いてくれているのですが、父への対応は見ているこっちが切なくなるほど冷たいです。

まず、こうちゃんは父に全く挨拶をしません。おはようの挨拶も、おかえりなさいの挨拶も、私や母に対しては尻尾をピコピコしてお出迎えしてくれるのですが、父の時はチラッと目で見て終わり。顔をあげることすらしません。

また、こうちゃんは眠くなると私や母にスリスリして、自分が満足するまでなでなでしてもらってから、あとは好きなところに転がって寝るのですが、父には自分から近づくことはありません。私のお腹で寝ているこうちゃんを父が無理やり抱っこしようとして、思いっきりこうちゃんに噛まれた話は、今でも家族の中でもネタになっています。

こうちゃんが自ら父に近づくのは、父が何か食べている時だけ。毎日大量のおこぼれをくれる人だというのに、ごはんがなければ名前を呼ばれても顔すら向けません。そんなかわいそうな父さんは、「一生懸命働いて、こうちゃんのごはん代や服代を稼いでるのはお父さんなのに…。」としょんぼり。「ごはんだっていっつも山ほどあげているのに。」と言います。

寂しがってもらえなかった妹

私の妹は子供の時から、動物にあまり好かれない子でした。こうちゃんも父ほどではないものの、妹のこともあまり好きではありません。

今では結婚して、3児の母になった妹ですが、結婚した旦那さんはそんな妹とは対照的に、動物から愛される人だそう。旦那さんに対して、甘えるような声で鳴いていた野良の子猫を保護するために、妹が手を差し伸べようとしたところ、思いっきりシャー!と威嚇されたのだそうです。

そんな妹夫婦も、いまは2匹のチワワと暮らしています。1匹は妹が一人暮らしをしている時に迎えた子で、もう1匹は結婚が決まってから旦那さんと一緒に迎えた子です。毎日2匹のお散歩もごはんの用意もトイレ掃除も、全て妹が担当しているのですが、2匹は妹よりも圧倒的にパパの方が好きなようです。

妹が出産のため、1ヶ月ほど自分の家を留守にしていた時のこと。久々に自分の家に帰る日が来て、妹は長い間会っていなかった愛犬たちのことを思い浮かべ、目にうっすら涙を浮かベていたそうです。きっとワンコたちも寂しがっているはず。そう思い、旦那さんが開けてくれた玄関のドアをくぐると、犬たちが飛び出してきました。「ふたりとも!!」と涙ぐんでいる妹の腕をすり抜けた2匹は、なんとドアを開けている旦那さんの足元へ走っていくではありませんか。妹のことはチラッとだけ見て、「あ、いたの?」という顔をされて終わったそうです。2匹はパパの足元でじゃれて飛びついて大はしゃぎ。その後も妹の方には全く来ず、ひたすら旦那さんにじゃれていたとか。

「いつもごはんをあげているのは私なのに。」「お散歩だって私が連れていっているのに。」と妹は言っていました。

弟に負けた後輩ちゃん

以前私が働いていた職場に、実家暮らしをしている後輩の女の子(A子ちゃん)がいました。両親と弟、そして可愛いジャックラッセルテリアと一緒に暮らしているA子ちゃんは、よく私にジャックラッセルテリアの写真を見せてくれました。すごくかわいがっている様子が伝わってきたので、てっきり愛犬といい関係性を築けていると思っていたのですが、ある日その子と一緒にランチをしていると、「愛犬が自分に懐いてくれない。」と打ち明けてくれたのです。

話を聞いてみると、そのジャックはA子ちゃんの弟くんが大好きらしく、みんなが出先から帰ってくると真っ先に弟くんのお膝の上に飛び乗るそうです。A子ちゃんが呼んでもジャックは弟くんから離れようとせず、完全に「A子ちゃん<弟くん」の図式が成り立っているそう。いつも弟くんに負けて、寂しい思いをしているということでした。

そしてやっぱり私の父や妹と同じように、「ごはんをあげているのは私なのに。」と言っていました。

犬から好かれないのはなぜ?

3人の話を聞くと、みんな口を揃えて「お世話をしているのは自分なのに。」と言います。構ってあげてるし、ごはんだってあげているのに自分に懐いてくれない、と言うのです。どうして愛犬に嫌われてしまうのでしょうか?

自分が構いたいときだけ構うのはNG

犬に嫌われている人に共通しているのは、「構ってあげている=自分が構いたい時だけ構っている」ということでした。犬が眠たくてうとうとしている時に「よし、かまってあげよう。」と起こそうとしたり、のんびりゴロゴロしている時に「よし、抱っこしてあげよう。」と無理に抱っこしようとしたりするのは絶対にNGです。そんなの犬じゃなくても嫌に決まっています。確かにうとうとしているときの犬は天使並みに可愛いのですが、そこはグッとこらえてあたたかく見守ってあげましょう。

自分が構いたくない時に無視するのもNG

犬も生き物ですから、明確な意志を持っています。遊んでほしいときは「あそぼう!」と主張しますし、かまってほしいときは「かまって!」と主張します。そんな彼らの主張をきちんと聞いてあげるかどうかが、犬に好かれるか嫌われるかの分かれ道になると思います。

もちろん、しつけの一環としてなんでも犬の言うことを聞いてはいけない、という考え方はあると思います。なのでトレーニングの一環として、愛犬のおねだりに耳を貸さないのはOKです。しかしそれがトレーニングではなく、単に自分がその気にならないだけならNGです。

例えば「今テレビ見てるから、これが終わったら遊んであげる。」「仕事で疲れてるから、ちょっと休んでからお散歩に行く。」なら犬も納得してくれるでしょう。でも犬に嫌われる人は、「今はテレビ見てるから無理。」「もう仕事で疲れてるからお散歩行けない。」で終わっているような気がします。結局、犬の要求を満たしてあげていないのではないでしょうか?

ごはんでごまかすのは一番ダメ!

犬だって、自分に優しくしてくれる人が好きです。甘えたい時にちゃんと甘やかしてくれる人、構ってほしい時にいっぱい構ってくれる人を好きになるに決まっています。日々の些細な思いやりが犬にも伝わり、いい関係性が作られていくのです。

それを怠ってごはんで釣ろうとするのは、一番やってはいけない行為です。日々の関係性構築を怠り、愛犬が他の家族に懐くようになったのを見て、それが寂しくなってごはんで釣ろうとすると、本当にただのごはん係になってしまいます。当然そんなことをしても懐いてくれるはずがないのに、本人は「ごはんをあげてるのは自分なのに!」という感情に支配されるようになってしまいます。これではいい関係を作れるはずがありませんよね。

父も昔はこうちゃんに愛されていた

実は実家にいるこうちゃんも、子犬の頃は父が仕事から帰ってきたときは、きちんと玄関までお出迎えしていたのです。しかし父はお出迎えてしてくれたこうちゃんを全然相手にせず、まっすぐ母のところへ行き、その日あった出来事をくっちゃべっていました。何よりも自分の話を聞いてほしい父は、お話ができないこうちゃんにはおざなりな対応しかしなかったのです。

さらに、こうちゃんが眠たそうにくつろいでいる時に「よし、遊んでやろう。」などと言ってちょっかいを出し、さみしくなるとごはんで釣り、何もない時にこうちゃんがごはんをおねだりして吠えると「うるさい!」と怒ったりしていました。私からすると嫌われて当然の行動なのですが、本人は何が悪いのか気付いていなかったのです。

犬に愛される人間はこんな人

我が家の愛犬むーたんは、むーたんパパのことが大好きです。パパがお昼寝をしていたらお腹の上で丸くなって寝たり、パパがソファーでゴロゴロしていたらパパの隣にすっ飛んでいきます。パパがお家に帰ってきたら喜びの舞を繰り出して大喜び。でも、むーたんパパはむーたんのお世話をほとんどしません。ごはんをあげるのもお散歩に行くのも、トイレ掃除をするのも全部私です。一体むーたんは、パパの何が好きなのでしょうか?

むーたんはパパが自分のことを大事に思ってくれていることをちゃんと理解しています。朝起きたむーたんに話しかけてくれる声の感じや、コロコロしているむーたんを優しくなでなでしてくれること、パパの様子を見にきたむーたんに「お、むーたん。どした?」と声をかけてくれること。特別なことはしていないのですが、そういったちょっとしたことから、「パパはむーたんのことが大好きだーーーー!」というのが伝わっているのだと思います。

犬から好かれるために

犬の気持ちを理解する

犬も人間と同じ生き物ですので、飼い主の思い通りに動いてくれるわけではありません。疲れている時に遊んでほしいとせがんでくることだってありますし、静かにしていてほしい時に吠えることだってあります。しかし、私の周りにいる犬に好かれない人たちは、無意識で「動物を自分の思い通りにしたい。」と思っているように見えました。

一方、動物から好かれる人は、相手の気持ちを尊重しているように思います。放っておいてほしそうな時は優しく見守り、遊びたいとせがまれたらできるだけ相手をしてあげ、何かに怯えているときは優しく声をかけてあげる。ペットとしてではなく、大切な相手として、対等の関係性を築いているのです。同じ家族の中にこのような思いやりのある人がいれば、犬がそちらを好きになるのは当然ですよね。

お世話が義務になってはいけない

犬のお世話には色々あります。ごはんをあげたり、トイレシートを変えたり、お散歩に連れて行ったり。これらのお世話は飼い主として最低限の義務ではありますが、お世話自体を義務化しない方が、愛犬といい関係を作れるのではないかと私は思います。

「本当は面倒だけどごはんをあげている。」「本当は嫌だけどお散歩に連れて行ってあげている。」お世話が義務になるとこのような考え方になってしまうからです。私がお世話をしてあげているのに、という考え方をしている限り、動物と仲良くなることは難しいと思います。

つい義務になりがちはお散歩を楽しむための工夫は『愛犬とのお散歩を楽しむための工夫』にまとめているので、合わせて読んでみてください。

最後に

犬は家族のメンバーを順位付けすると言われていますが、果たしてそんなに上下関係に厳しい動物なのでしょうか。昔の猟犬や番犬ならともかく、むーたんが私やパパのことを「自分よりも上だ」と考えているとはとても思えません。単に自分のことを大切にしてくれる相手が誰なのか、きちんと理解しているだけな気がします。もし愛犬といい関係が築けずに、「舐められている!」「上に立たなければ!」と考えているのであれば、まずはそういった気持ちを捨てて、愛犬を喜ばす事から始めてみるといいかもしれません。