涙が出ちゃうよ…

実は今週の木曜日から実家に帰っていた私。帰省の準備をしていたらむーたんが寂しそうにずっとくっついてくるので、「やっぱりむーたんはお姉ちゃんがいないとダメだね♡」なんて思って、嬉しい気持ち半分、申し訳ない気持ちが半分のまま、具合の優れないこうちゃんに会いに帰ってました。

動物病院嫌いなこうちゃん

もともとは病院大好きだった

こうちゃんは他の犬が大嫌いな代わりに、子供を除く人間は大好きです。昔はたくさんの人がいる動物病院も大好きでした。待合室で他の犬たちがブルブルしていても、こうちゃんは一人だけ大はしゃぎ。看護婦さんや獣医さんに名前を呼んでもらえると、目をキラキラさせて喜び、診察台に乗る直前までいろんな人に愛想を振りまいていました。

病院嫌いになったきっかけ

1年ほど前、ちょうど私が岡山に帰っていたときにこうちゃんが少し体調を崩したため、母と一緒に動物病院へ連れて行ったことがありました。そのときはいつもの獣医さんが不在だったのでおじいちゃん先生が見てくれたのですが、目があまり見えていないのか採血が恐ろしく下手で、こうちゃんは何度も小さな手に針を刺されました。何度やり直しても採血できなかったおじいちゃん先生は、あろうことかこうちゃんの手に針を刺し、ポンプのようにこうちゃんの手をギュッギュッと握り、無理やり血を採ろうとしたのです。

私と母が「やめてください!」と言おうとした瞬間、他の病室で診療していた獣医さんが慌てて入ってきて(多分おじいちゃん先生の息子)、おじいちゃん先生に「何してるんだ!」と言ってすぐに処置を代わってくれたのですが、その時こうちゃんは本当に痛くて怖かったらしく、それから動物病院に行くのが大嫌いになってしまいました。私と母ははらわたが煮えくりかえる思いで、ブルブル震えるこうちゃんをお家に連れて帰ったのでした。

もともと動物病院が嫌いな母

こうちゃんが動物病院を嫌いになったことで、母の動物病院嫌いも加速してしまいました。今までこうちゃんが動物病院大好きだったので、きちんと定期健診に連れて行っていたのですが、もともと動物病院があまり好きではない母は、この一件以来、めっきり動物病院へ連れて行かなくなってしまったのです。

先代とのお別れ

母は子供の頃、ジョニーというマルチーズと一緒に育ちました。母はジョニーのことを深く愛していたのですが、ジョニーがフィラリアにかかって具合が悪くなったとき(フィラリアの予防薬がなかった時代です。)、ちょうど自分の母親も体調を崩して入院してしまい、母親の看病をするためにジョニーを動物病院に入院させたのです。結局、ジョニーはそのまま動物病院で息を引き取り、母は大好きだったジョニーの死に目に会えませんでした。そのショックは非常に大きく、結局母は私が大学に入学するまで犬を迎えることができなかったのです。

発作が起きても動物病院へ行かない

そんな経験をしたこともあり、母の中には「こうちゃんを看取るときは絶対にお家で」という強い思いがあるようです。こうちゃんが体調を崩しても、動物病院へほとんど行かなくなってしまいました。こうちゃんは心臓に持病があって、今回私をお出迎えしてくれた時も興奮しすぎて呼吸がひどく苦しそうだったのですが、母は「もう年だから仕方ないの。発作が起きても動物病院には連れて行かない。こうちゃんはお家が大好きなんだから、絶対にお家で看取ってあげるの。」と言います。 確かに、動物病院が大嫌いになったこうちゃんに通院のストレスを与えたくない気持ちもわかるのですが、私としては「調子のいい時に動物病院で定期健診をして、薬くらい処方してもらったら?」と思っています。ただ、ずっとこうちゃんと一緒にいるのは母なので、できるだけ母の考えを尊重したいと思います。

(でも薬だけはもらうよう、これからも提案はしてみます。)

こうちゃんに会いに帰ったら

今回も母が「こうちゃん、もう死んじゃうかも〜!」と泣きながら電話してきたので様子を見に帰ったのですが、『食いしん坊こうちゃんとお騒がせな両親』で書いてある通り、私の両親はお騒がせな人たちなのです。帰省してみると、こうちゃんはまだまだ元気そうでした。

思ったよりは元気だったけど…

私が帰ったとき、こうちゃんはとても喜んでくれました。でもテンションが上がりすぎたせいか、「げひゅー、げひゅー」とおかしな呼吸をしていて、明らかに苦しそうでした。母が「最近こういう発作が増えてきたの。」と言うので私も心配したのですが、「こうちゃん、大丈夫?」と背中を撫でようとすると、15歳とは思えない脚力で部屋の中をグルグル爆走します。

・・・なんで??( ̄ー ̄;

でも思ったより元気そうだったので、少しホッとしました。

こうちゃんと過ごす一日

帰省した翌日は母が一日外出だったので、私はこうちゃんと一緒にいるために家で仕事をすることにしました。しかし、こうちゃんは年を取って少しボケてきているのか、お部屋の中をウロウロして落ち着きません。キューキューと不安そうな声で鳴き続けながら、家の中を行ったり来たりします。

お庭に出せというので出してあげ、戻ってきたこうちゃんの足を拭き、足を拭いたご褒美をよこせというのでカリカリにお湯をかけてふやかします。早くごはんをよこせと怒るくせに、ごはんを置いてあげても食べず、再びお庭に出せというので出してあげ、戻ってきてごはんを食べたらまたお庭に出して・・・。という繰り返し。

時にはクローゼットの中にあるクリアケースをずーっとカリカリすることもあります。中の靴下を取ってあげても見向きもせず、カリカリしながらキューキュー鳴き続けるので、父も母もお手上げだったそうなのですが、なんと一旦ケースの中に入れてあげると落ち着きました!

すぐ出たがるので、そばで待機していないといけないのですが・・・。

アハハ、ぜんっぜん仕事が進まない(笑)

でもいいんです!私はこうちゃんに会いに帰ってきたのですから、一緒にいれる時間が短い分、ずっとこうしてこうちゃんに付き合うことが幸せでした。

妹家族の襲来

こうちゃん最大の恐怖

こうちゃんは人間は好きですが、子供は本当にダメです。昔、犬好きな小学生の男の子にむちゃくちゃされたことがあり、特に大きな声をあげる子供が大の苦手。しかし妹一家にはうるさい盛りの2歳児と、ギャンギャン泣き叫ぶ生後半年の双子がいます。妹家族が来ると、こうちゃんはトイレもごはんも我慢して、ブルブル震えながら狭い場所でじーっと息を潜めて隠れていなければならないのでした。

妹一家が実家に遊びに来るとこうちゃんが急激に体調を崩してしまうようになったため、妹は普段あまり実家に帰ってきません。一人で2歳児と双子のお世話をがんばっています。しかし、先日高熱を出した双子に旦那さんが無関心だったことで激怒し、私が帰省したタイミングで子供達を連れて実家に帰ってきたのでした。

呼吸困難になりかけたこうちゃん

妹と子供達が家に入ってきた瞬間、こうちゃんの呼吸が急に荒くなりました。助けを求めて私の肩の上にかけ上がってきたので、「ぜえっ、ぜえっ、ぜはぁっ、ぜはぁっ」と、どんどん呼吸が激しくなっていく様子がよくわかります。しかし、年明けから続く3人の子供達の看病と、1週間口をきかない旦那との関係に疲弊し切った妹を見て「自分の家に帰りなさい。」と言うのは難しく、私は静かなお庭へこうちゃんを抱っこしたまま連れ出してあげました。

それでも呼吸が落ち着く様子はなく、本当に呼吸困難になりそうだったので、かわいそうでしたが洗面所に隔離することにしました。こうちゃんが寒くないように床に毛布を敷き、お風呂場の暖房をつけてあげて、絶対に子供たちに見つからない場所に隠します。そこに入れてあげると、相変わらずガタガタ震えていたものの、呼吸はみるみる落ち着いていきました。

妹家族が帰った後のアクシデント

なかなか隠れ家から出てこない

そんなこうちゃんに気を使った妹は、晩ごはんとお風呂だけ済ませて自分の家へと帰っていきました。しかし、妹一家が帰った後も、こうちゃんは隠れ家から出てきません。私と母がごはんやおやつで誘ってもなかなか出てこなかったのですが、静かな状態が続くとそろりそろりと出てきて、やがて私たちの晩ごはんだったしゃぶしゃぶの残りを鍋ごとお裾分けしてもらい、嬉しそうに食べていました。

(※茹で汁は捨てて、冷ましてから与えています。)

急激な吐き気に襲われる

情けない話ですが、両親も私も慣れない子守りに力尽き、片付けもほどほどに3人一緒にリビングのコタツで寝落ちていました。(いつもこれを一人でやっている妹には、頭の下がる思いです。)しかし、しばらくして私は猛烈な吐き気で目が覚めました。私の異変を察知した両親も目を覚まし、お水を汲んできてきてくれたり、薬を出してくれたり、とても心配させてしまったのですが、こうちゃんも同じように私のことを心配してくれていたのです。

トイレに駆け込もうとすると・・・

胃がむかむかして逆流してくるのを察知した私は、「あ、むり。吐いてくる。」と言ってトイレに行こうとしました。母に支えられながらトイレに向かうと、なぜかこうちゃんもついてきます。そしてこうちゃんはそのままトイレの扉の前に陣取ってしまいました。

「こうちゃん、お姉ちゃんをトイレに行かせてあげて。」

母が声をかけてもこうちゃんは扉のほうをむいたまま譲りません。仕方なくそっとドアを開けると、真っ先にこうちゃんはトイレの中へ入っていき、便器の隣でじーっとしているのでした。

「うぅ、、こうちゃん。お外でてたほうがいいよ。お姉ちゃんもう我慢できないよ。。」

「こうちゃん、こっちへおいで。お母さんのところへおいで。」

私も母も、今までこうちゃんがトイレに入ったのを見たことがありません。しかし、結局こうちゃんはそのまま私のそばから離れませんでした。私がゲロゲロやってる間、ずーっと一緒にいてくれたのでした。

私を守ってくれている

すっかり年をとって、のたのたお家の中を歩き回るようになったこうちゃん。日中キューキュー鳴き続けて、妹の帰省で散々怖い思いをして、呼吸困難にまでなりかけてたくせに、私の心配なんかしなくていいんだよ。

そう思ったらなんだか胸の奥が熱くなりました。

そうだよね。こうちゃんは昔から、そうやってお姉ちゃんのこと守ってくれてるんだよね・・・。

私がむーたんの「ママ」にならないわけ』で書いたミツバチ事件では、私がいくら「こうちゃんが守ってくれたんだよ!」と言っても母も妹も信じてくれませんでしたが、今回は母も同じことを考えていたようです。

「こうちゃん、お姉ちゃんのことが大好きだからきっと心配だったのよ。お母さんが飲み過ぎてトイレで吐いてても心配してくれないのに・・・。」そう言った母は少し寂しそうでした(笑)

まだまだ元気に過ごしてね!

私が東京に戻るとき、こうちゃんは玄関までお見送りに来てくれました。その時の顔は「お姉ちゃん、帰っちゃうの?寂しいな。」って言っているようにも見えたし、「もう大丈夫そうだね。」と言ってくれているようにも見えました。東京に戻ってからも、あの時お見送りしてくれたときのこうちゃんの表情が忘れられません。またすぐ帰ってくるからね、とこうちゃんに約束したので、またすぐ帰ることにします。