災害が起きたとき、ペットと一緒に避難ができるかどうかは、残念ながら住んでいる自治体によって異なります。2019年10月に台風19号が猛威を振るったとき、地域によっては多くの方がペットと一緒に避難できず、苦しい選択を強いられたようです。
目次
災害時のペットとの避難について
災害とペット
1995年に発生した阪神・淡路大震災では、ペットを避難所に連れて行くことはできませんでした。しかし2011年に起きた東北大震災で、ペットを置いていけない飼い主が命を落としたり、飼い主と逸れた迷子のペットが大量に保護されたりしたことから、環境省は2013年に『災害時におけるペットの救護対策ガイドライン』をまとめ、避難するときはペットと一緒に避難する同行避難を呼びかけました。
同行避難と同伴避難は違う
ただし、ここで気をつけたいのは、政府が推奨しているのが「同行避難」ということです。おそらく、同伴避難と一緒になっている飼い主さまも多いのと思うので、ここではその違いを解説します。
- 同行避難:災害が起きたとき、飼い主がペットを連れて一緒に避難すること。ただし、避難所でペットと一緒に過ごせるかどうかは、各自治体や避難所の判断に委ねられている。
- 同伴避難:災害が起きたとき、飼い主がペットを連れて一緒に避難し、かつ避難所で一緒に過ごすこと。
同行避難OKと聞いて、避難所で一緒に過ごせると考えてしまう方も多いと思いますが、決してそうではありません。アレルギーがある方に配慮して、ペットを建物内に入れないと決めている避難所もたくさんあります。
自分の避難する先がどういう方針なのか、あらかじめきちんと理解しておきましょう。ちなみに東京23区内では、ほとんどの避難所が同行避難OKとなっています。ペットと同じ空間に避難できることは保証されていません。
同行避難OKの避難所の落とし穴
環境省のガイドラインに従い、多くの自治体で同行避難OKをうたっています。しかし、動物アレルギーがある方への配慮もあって、ペットと人間の居住スペースを分けていることも多いです。
ペットの居住スペースが屋内だった場合
ペットの居住スペースが屋内に指定されていた避難所では、今回の台風でも無事ペットと一緒に避難することができたようです。
猫ともども、避難所到着。
ペット同伴は下駄箱までしか入れません。 pic.twitter.com/Z6kuSgr49n— ハヅキチ (@y_haduki) October 12, 2019
10月12日午後5時40分現在
台風19号に伴う古河市の避難所の状況は「古河市立西牛谷小学校」では10名の方々が自主避難しています。
まだまだ入れます。
また、ペット避難コーナーも設置されています。 pic.twitter.com/y9kRlrkL0E— 高橋カツノリ (@es1CbRtFeD9TZ2L) October 12, 2019
ペットの居住スペースが屋外だった場合
一方で、ペットの居住スペースを運動場などの屋外に指定している避難所もあります。その場合、ペットと一緒に避難できるのは、気候が穏やかな時期に限られます。今回のように台風による被害を受けたときや、暑いとき、寒いときはペットと一緒に避難することができません。
「ペットとの同伴避難」について
昨日から私の元に、ペット同伴避難に対するお問い合わせを多数いただいています。
防災課に問い合わせたところ、ペットの避難場所が屋外(校庭など)に指定されているため、家屋倒壊など特段の理由がない限り台風の場合は同伴避難ができないようです。
→つづく
— みやもと しゅんま(荒川区議会議員) (@miyamoto_shunma) October 12, 2019
近くの避難所が同行避難できるかどうかだけでなく、ペットの居住スペースがどのような場所で、どのように過ごすことになるのか、あらかじめチェックしておいたほうがいいでしょう。
台風19号で被災された方たちのリアルな声
ペットと一緒に避難できなかった方たち
猫連れて戸田スポーツセンター避難したらペットは外に置いてくるしかないって言われて大激怒したわ。戸田市の避難所どこもペット同伴不可らしい。残酷すぎる。大雨の中背負って行ったのにただのびしょびしょになって帰っただけ。家1階だから荒川次第で終了。もう他の避難所に行く元気はない。
— Chiho (@CH1H01020) October 12, 2019
江東区の避難所、ペット一緒はダメ。廊下もダメと全面ペット拒否。
知人の一人暮らしのお年寄り、ペットと一緒じゃなきゃ避難しないと。— 大滝 とおる (@BalvedQBjyTUyqP) October 12, 2019
避難所の混乱に振り回された飼い主さんも・・・
近くの避難所に先に確認にいって、ペットと避難できますと言われたのに、全て準備していざ避難所にいったらやっぱり無理ですって…
傘も壊れて帰りはびちゃびちゃ。
お家で頑張ろうね… pic.twitter.com/oUY6hSqoTN— プクマル (@pukumarukun) October 12, 2019
世田谷区の指定避難所 16時10分現在の瀬田中学校。現在避難者200人ほどです。ペットはダメと言われました。運営を仕切る区の指揮担当者がいないので混乱しています。 pic.twitter.com/iWXEap1AqQ
— もちだ (@pixy122000) October 12, 2019
一方で、ペットと一緒の避難所で過ごせた方たちも
やっぱり死にたくないから風子連れて奥戸のスポーツセンターに避難してきた。
葛飾区でペット同伴の避難所をお探しの方、ここならまだ余裕あります。スタッフの方が新たにペット同伴部屋を開放してくださいました。駐車場有り。
人間も同じスペースにいられるというのが有り難い。#葛飾区 #避難所 pic.twitter.com/zlWeyScGGg— ユキ (@Ynuikcio) October 12, 2019
⚠️豊島区では、ケージに入れれば全ての避難所にペットを連れていくことが可能です。
餌など必要なものは、各自で持参してください。
動物アレルギーの方も中にはいるので、周りへの配慮を忘れずに🍀必要であれば一緒に避難してくださいね🐈️🐕️🐇🦉🐦 pic.twitter.com/VlVPKBe6yD
— ふじさわ愛子🐰豊島区議会議員 (@FujisawaAiko) October 12, 2019
理想の避難所を作るために
突然の災害に慣れていないのは、避難所を運営している現場の方々も同じです。人間のことで手一杯な状況の中、ペットのことで柔軟な対応を求めるのは難しいでしょう。
いざという時に、人もペットもスムーズに避難できるようにするためには、平時のうちから一人一人がしっかり意識しておくことが重要です。
- 家の近くの避難所はどこなのか?
- その避難所は同行避難なのか?それとも同伴避難ができるのか?
- 同行避難の場合、ペットの居住スペースはどのようなところに作られるのか?
- 近くの避難所がペットと一緒に避難できない場合、どこへ行けばいいのか?
少し前、上記のような問い合わせをした時、区役所からの返答は「基本的にはペット専用スペースがある同行避難になるけれど、避難所によって対応が異なるのでなんとも言えない。」というものでした。しかしこうして私1人が問い合わせをしたからといって、区役所が動いてくれるとは思えません。
でも、ペットと一緒に避難したいと思っている全ての飼い主さんが、こういった情報を積極的に仕入れるために自治体に問い合わせをしたり、働きかけたりすれば、自治体も災害時のガイドラインをしっかり固めるようになるのではないでしょうか。
最後に
誰かが理想の避難所を作ってくれるのを待つのではなく、みんなで作っていこうとする意識も必要だと思います。今回の台風19号で大変な思いをした飼い主さんたちの経験を無駄にしないためにも、いざという時にペットと一緒にスムーズに避難できる環境を作るためにも、飼い主ひとりひとりの防災意識を高めることが大切だと思ったので、今回この記事を書くことに決めました。