無駄吠え対策にペット用スタンガン・・・?

今日、何気なく読んでいたニュースの中に、しつけと称してスタンガンで子どもたちに通電していた父親が逮捕された、という記事がありました。近頃、子どもが犠牲になる痛ましい事件が多すぎて、私は一旦記事を開いたもののすぐ閉じようと思いました。しかし、何かが引っかかってよく読んでみると、使われていたのは普通のスタンガンではなく、「ペット用スタンガン」だったと書かれていたのです。

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ペット用スタンガンの存在意義

最初、なんのためにペット用のスタンガンがあるのか、さっぱり意味がわからなかった私は、インターネットで調べてみました。どうも、無駄吠え防止のための商品らしいのです。

首輪のような形をしていて、犬の首に取り付け、吠え声・鳴き声に応じて電気が流れるというもの。電気の強さを調整できるものや、通電はしないで振動するだけのものなど、色々な商品がありました。それぞれにレビューもついているので、購入する人もそれなりにいるみたいです。

無駄吠えをするのには理由がある

そもそも犬は吠える生き物

私は「無駄吠え」という言葉があまり好きではありません。そもそも、犬というのはよく吠えるように、人間の手によって作られた生き物だからです。少し前まで、狩猟の場や牧場では、よく吠える犬が好まれていました。獲物を追い立て、羊を移動させるのに、犬の力を借りていたのです。日本でも、侵入者がきた時によく吠える犬は、一昔前まで番犬として愛されてきたはずです。

ダックスフンドやコーギー、芝犬など、多くの人々と一緒に暮らす犬たちも、かつては狩猟犬や牧羊犬として活躍してきました。こういった犬たちに吠えないことを望むのは、いささか酷なのではないでしょうか。

むーたんも吠えます

我が家の愛犬むーたんは、古くから愛玩犬として愛されてきたヨークシャーテリアという犬種です。そんなむーたんも、普段はとてもおとなしくていい子ですが、インターホンが鳴った時や他人が家に入ってきた時は気が狂ったように吠えます。そんな時は「吠えるな!」と言っても仕方がないので、抱っこして「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と優しく声をかけたり、大好きなごはんをあげて気を紛らわしたりしています。

無駄吠えのトレーニング・・・?

たしかに無駄吠えはしんどい

とはいえ、愛犬の無駄吠えに悩んでいる方の気持ちもわかります。犬の吠え声で通常の生活が困難になったり、ストレスがたまって愛犬を大事に思えなくなってしまうくらいなら、きちんとトレーニングはしたほうがいいと思います。ペット用スタンガンのレビューにも「今まで辛かった。」「無駄吠えがなくなって本当に気持ちが楽になった。」という飼い主さんたちの意見が多く書かれていて、みなさん相当悩まれていたのだと感じました。

スタンガンである必要性

ただ、そんなに悩んでいるなら、まずは専門家に相談してみるのが先ではないでしょうか。トレーニングの一環としてスタンガンを使用するのは、私は絶対に反対です。吠えるから殴ることと、吠えるから通電することの違いが、私にはよくわかりません。

振動させるだけならいいのでは、という方もいるかもしれませんが、犬に嫌な思いをさせて意思を封じ込めるのは、体罰と変わらないと思うのです。「振動だけですごく効き目があります!」とレビューには書いてありますが、それだけ犬にとっては振動が嫌なことなのではないでしょうか。

強力なスタンガンもある

今回私が読んだニュースで使われていたペット用スタンガンは、かなり強力な通電が可能なようで、子どもたちの腕には通電の跡がいくつも残っていたそうです。やけどの疑いもあるんだとか…。

こんなことは絶対に許されることではありません。しかし、この絶対に許されないことを、犬にはしてもいいのでしょうか?人間に怪我をさせるほどの商品が、使用した父親が逮捕されるほどの商品が、ペットのしつけ道具として公然と世の中に出回っていていいのでしょうか?犬も人間と同じ、意思のある生き物であるという事実が、日本ではまだまだ浸透していないのだと実感しました。

まずは専門家を頼って

無駄吠えのためのトレーニングは色々ありますが、本当に困っているなら専門家を頼るべきです。下手なネットの情報を鵜呑みにしたり、我流のトレーニングを強要したり、危険な商品を購入するよりは、犬の習性をよく理解しているドッグトレーナーにまずは相談してみたらいいと思います。相談するだけなら無料なところが多いでしょう。

相談する際は、ドッグトレーナーがどんな方法で犬にアプローチするのか、聞いてみるといいでしょう。中にはトレーニングと称して公然と体罰を与えるところもあるので、そういうところは避け、愛犬に合いそうな教室を探してみてください。

ちなみに、本当に困っている場合は、動物行動治療の獣医師を頼るのがおすすめです。獣医師の中でも、動物の「問題行動」を治療するエキスパートで、実はむーたんもトイレがうまくできず、東京大学の先生に診ていただいたことがあります。ネットの曖昧な情報よりも絶対に信頼できます。

最後に

私には子どもはいませんが、たくさんの愛情を注ぐと、それ以上にたくさんの幸せをもたらしてくれる尊い存在だというのは、子どもも犬も同じだと思います。日本がもっともっと、子どもにも犬にも、優しい環境になってほしいと願っています。