動物に優しいペットショップの特徴

世の中には動物想いの素敵なペットショップもありますが、動物を生き物とすら思っていないような悪質なペットショップも数多く存在しています。しかし、顧客側にきちんとした知識がなければ、両者の違いを見抜くことはできません。そこで今回は、動物思いのペットショップの特徴をご紹介したいと思います!

これから犬を迎える方たちへ

いいペットショップかどうか確かめて

犬や猫を迎えるためには色々な方法があります。ブリーダー(子犬や子猫の繁殖をするところ)から直接譲り受けたり、譲渡会などで保護犬・保護猫を迎える方法もありますが、まずはペットショップを訪れるという方が最も多いのではないでしょうか。

ショーケースには多くの子犬や子猫が飾られていて、コロコロ動いたりすやすや眠ったり、その可愛らしさに心を奪われることと思います。そしてケースの前に大きく貼り出された生体価格と相談しながら、気に入った子犬を我が家へ迎え入れるかどうか判断することになるでしょう。できればその時、もう一つチェックして頂きたい項目があるのです。それは、いま訪れているペットショップが動物たちを大切にしているかどうかということ。

表面上キレイなお店はたくさんある

世の中には悪質なペットショップも数多く存在していますが、お客さまに来店してもらって子犬を買ってもらうビジネスモデルである以上、どのお店も表面上はキレイに見せます。臭くて汚いケージの中でドロドロになっている子犬を買おうとは誰も思わないですからね。

しかし、裏でどんなにひどい扱いをされても動物たちはしゃべることができないので、そのペットショップが本当に動物に優しいお店なのか、それとも実はとても悪質なことをしているお店なのかは、顧客側がしっかりと知識を持って確かめる必要があります。顧客側の意識が上がっていくことこそ、今の日本の法律では捌けない、悪質なペットショップやブリーダーを撲滅する第一歩になると私は思っています。

悪質なペットショップの動物たちの扱い方は本当に非人道的です。あまりにも残酷な話なのでここではあまり記載しません。もしご興味のある方、詳しく知りたいという方は「引き取り屋の存在と、私が衝撃をうけた一枚の写真」という記事を読んでみてください。

動物に優しいペットショップの見分け方

悪質なペットショップかどうかを判断することは少し難しいのですが、きちんと知識があれば動物に優しいペットショップはすぐにわかります。ここでは3つのポイントをご紹介しましょう。

子犬たちの過ごしている環境をチェック

ペットショップにいる子犬たちは、まだ免疫機能もできあがっていない幼い子がほとんどです。その子たちが元気に暮らすためには、清潔な居住空間と快適な生活環境が必要不可欠。

ペットショップに入ったら、まずは子犬たちが過ごしている居住スペースを確認してみましょう。ケージが小さすぎないか、喉が乾いたらすぐにお水を飲めるようになっているか、トイレと遊ぶ場所が別になっているか、トイレは常に清潔か、そういった点をチェックしてあげてください。

私たちは何も知らないまま六本木のペットショップでむーたんと出会いましたが、むーたんと毎日一緒に過ごしていると、そのペットショップには行けなくなってしまいました。狭いケースにはトイレットペーパーがちぎって敷かれているだけで、給水ボトルはなし。トイレと遊ぶスペースは当然仕切られておらず、中にはウンチが体についてしまっている子もいました。上の写真くらい快適な居住空間を整えているペットショップがもっともっと増えていくといいですよね。

子犬の年齢をチェック

生まれて間もない子犬や子猫は小さくコロコロしていて、とても可愛いです。しかし、あまりに早く母犬や慣れ親しんだ環境から引き離してしまうと、将来的に問題行動を引き起こすリスクが高くなるという事が海外の研究ではわかっています。そのため、欧米の先進国では8週齢未満の子犬の販売を禁止しているところがほとんど。

日本でも8週齢未満の子犬の販売を禁止しようとする動きはあったものの、「子犬が大きくなったら消費者が買ってくれなくなる」という理由でブリーダーやペットショップなどのペット業界が猛反発し、2017年時点では8週齢未満の子犬も販売されています。

生後2ヶ月も経ってないほんの小さな子どもの時に、無理やり母親から引き離して怖い思いをさせる(詳しくは後ほど記載します)のは、あまりに残酷なことです。むーたんもかなり幼い時にお母さん犬から引き離されたせいか、私たちのお家にやってきた後、1ヶ月くらい心を開いてくれることはありませんでした。

ペットショップの中には自ら規制を設けて、8週齢未満の子犬は取り扱わないというスタンスを取っているところもあります。「大きくなったら売れない」「犬に負担がかかってもいいから稼ぎたい」というお店より、よっぽど信頼できるお店です。なので気になる子を見つけたら、その子の年齢もぜひチェックしてみてください。ゆくゆくはこういう素敵なお店が主流になっていくといいですよね。

子犬たちの仕入れ先をチェック

ペットショップに並んでいる子犬たちがどこから来ているか、ご存知ですか?詳しくは「ペットオークションって知ってる? 〜子犬が店頭に並ぶまで〜」で説明しておりますが、優しいブリーダーさんに大切に育てられた子犬がペットショップの人の手に渡り、店頭で大切に管理されているというケースは、実はあまり主流ではありません。基本的にブリーダーの元で生まれた子犬は、定期的に開催される「ペットオークション」という場所で競売にかけられ、ペットショップのバイヤーに競り落とされて店頭に飾られます。

このペットオークションは日本独自の流通システムで、日本をペット後進国と言わしめる大きな原因の一つとなっています。ペットショップ側はベルトコンベアーの上を流れてきた子犬と、手元にある資料だけで子犬を購入するかどうかを判断しなければなりません。子犬がどんな環境で育ってきたのか、その子の母親が健全な環境で過ごせているのか、そういったことは一切わからないまま購入するのです。この仕組みによって、悪質なブリーダーは誰の規制を受けることもなく、子犬を販売することができるのです。

ペットショップの中にはオークションに頼らず、自ら良質なブリーダーを探して全国をめぐり、独自の流通を確立しているところもあります。時間や手間をかけてでも、オークションに頼らない流通を独自で作っているペットショップというのは信頼できるお店だと思います。ペットショップに訪れて気になる子を見つけたら、ぜひ店員さんに仕入れ先情報についても尋ねてみてください。

悪質なペットショップから犬を迎えるかどうか

さて、いいペットショップを見分けることができるようになった時に問題になるのが、悪質なペットショップにいる犬を迎えるべきかどうか、ということです。

悪質なペットショップほど売れない犬を平気で処分しようとしますから、そういうペットショップで可愛い子犬や子猫を見つけたら、引き取ってあげたいと思ってしまうかもしれません。しかし、もし目の前にいる子犬を救ってあげようとすると、悪質なペットショップにお金を渡すことになり、彼らの悪質な活動を助長することになってしまいます。引き取ってあげるべきかやり過ごすべきか、これは非常に難しい問題ですよね。どちらの選択をするにしても、その子犬の仕入先や過ごしてきた環境は必ず聞いてみてほしいと思います。

このとき、仮に相手から理想的な回答を得られなかったとしても、消費者側がそういうことを気にしていることはお店側にインプットされるはず。少しずつ社会の目が厳しくなっていけば、業界側も変わらざるを得ないでしょう。動物愛護法の力が弱い以上、ペット業界を変えていくためには消費者側の意識が非常に重要になると思います。

最後に

私個人としては、今後ペットショップ経由で子犬を迎えようとは思いません。しかし、世の中のペットショップが全て消えてなくなればいい、とも思いません。今の日本は世界的に見てもまだまだ動物福祉レベルの低い国。いつか動物に優しいペットショップが先駆けとなって、ペット業界をより良い方向に変えていってほしいと願っているからです。